きもの永見ブログ

高橋
高橋
こんにちわ、きもの永見の高橋です。
今回は小石丸についてお話させて頂きます。

■「小石丸」について

先日皇后さまが初めての御養蚕始の儀に臨まれたことがニュースになりましたね。

養蚕は歴代皇后が担っており、皇后さまも,昭憲皇太后が明治4年にお始めになったご養蚕を上皇后陛下からお引継ぎになりました。
「御養蚕史始の儀」は皇居内の紅葉山御養蚕所にて行われ、そこで純国産種の「小石丸」という蚕を飼育されます。

小石丸とは

 

■春から夏にかけて行われる蚕の飼育

蚕の飼育は、春から初夏にかけて、掃立て(はきたて)・給桑(きゅうそう)・上蔟(じょうぞく)・繭かきといった養蚕の各段階の作業が行われます。

掃立てとは、養蚕で孵化したばかりの毛蚕(けご)を、羽箒などを使って集め、新しい蚕座(さんざ)に移し広げる作業です。そして給桑、つまり蚕に桑の葉を与えて育てます。

蚕は 5齢の 7~9日目になると食桑をやめて,繭を作るための糸を吐きはじめます。この糸が絹糸となり着物の原材料となるのです。
そして糸を吐くようになった蚕を蔟(まぶし)と呼ばれる繭をつくる場所に入れていきます。この仕事を上蔟(じょうぞく)といいます。

さらに,上蔟して 5~7 日たつと,蔟(まぶし)からできあがった繭をかき集めます。この作業を繭かき・または収繭といいます。上蔟と繭かきは養蚕の最後の締めくくりの大仕事です。特に、上蔟から吐糸・営繭し終わるまでの保護の取り扱いが繭の品質の良否に非常に影響を及ぼすので、とても大切な時期なのです。

 

■伝統文化としての養蚕を皇室で行われる意味

古来より、こういった細やかな作業を繰り返して絹糸が生成されてきました。
皇居の紅葉山の御養蚕所では,養蚕の最盛期に日本の養蚕家が行っていたとほぼ等しい手作業が,春または初夏の2ヶ月間行われております。主任を含む5人の奉仕者と共に,皇后陛下は日々のご公務の間を縫い,この作業のほぼ全ての工程に関わっておられます。

国内の養蚕業が急激に衰えた今も,皇后陛下はこれを皇室の一つの伝統として大切に引き継いでこられました。そこには、絹という、この美しいものを蚕から作る技術が日本から失われることのないよう、今日まで先人が営々と蓄積してきた養蚕の手法を次の世代へ残したいというお気持ちもあるのでしょう。国内の伝統文化を守るための大切な意味があるのです。

 

■日本古来の在来種・小石丸とは?

皇后陛下は改良された品種の蚕と共に,“小石丸”という古い純国産の蚕を飼育されています。

小石丸は蚕の中で最も細い糸をはき、艶があって張力が強く毛羽立たない、しなやかな糸という優れた特性を持っています。
小石丸の絹糸で織られる生地は、軽くて柔らかく、美しい光沢があります。また、生地は薄くてもあたたかい。「天⼥の⽻⾐」と呼ばれるにふさわしいものとなることから、絹本来の全ての良さを最⾼のレベルで併せ持つ、最上の素材とされています。
しかし小石丸は他の繭に比べて小さいので、生糸の量も通常より少なく、限られています。とても希少な絹糸で、“幻の絹”と伝説化されるのはそのためです。

 

実はこの「小石丸」、明治・大正初期にはその糸の美しさ故に珍重されたものの、大量生産を重視する当時のながれの中で生産性が低いことから次第に廃れていったという経緯があります。昭和の終わり頃に皇室でわずかに残っていたものも、その廃棄が不可避とされていたのですが、
新たに平成のご養蚕が始められたとき、皇后陛下のもうしばらくこの品種を留保なさりたいとの願いから、少量ながら飼育が続けられてきました。

 

■小石丸が担った日本文化の継承

ところが,この繭から採れる繊細な絹糸がかねてより計画されていた正倉院宝物の古代裂(8世紀)の復元に欠くことができないものであることが明らかとなりました。飼育を続けることとされた皇后陛下の決断が、宝物の古代裂の一連の復元事業につながったのです。

さらに鎌倉時代の絵巻の名品の修理にも用いられ、日本文化の継承に大きな足跡を残すことになりました。時代が変わって,皇室のご養蚕に新たな意義が加わることになったのです。主任とはかられ,小石丸の増産に踏み切られた皇后陛下は,以後毎年,正倉院に必要な小石丸の繭を贈り続けられ,小石丸はその美しさや繊細さを評価されるだけでなく、現在では古代の絹糸に最も近い品種として正倉院宝物の復元の糸として用いられ脚光を浴びています。平成22年に復元事業は完了しました。

小石丸はその美しさや繊細さを評価されるだけでなく、現在では古代の絹糸に最も近い品種として正倉院宝物の復元の糸として用いられ脚光を浴びています。

 

引き続き「小石丸」についての記事PART2へ続きます。

 

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